OUR VISION
ビジョン

ライブ・エンタテインメントを
もっと「いろんな人へ」
もっと「身近に」
もっと「楽しく」

 私たちは、 業界最大級のチケット販売サイト「イープラス」の企画運営を中心に、業界に先駆けて新しいサービスを提供しています。
 ライブ・エンタテインメント市場の変革・発展を目指し、ライブ・エンタテインメントをもっと「いろんな人へ」、もっと「身近に」、もっと「楽しく」を実現していきます。

MESSAGEトップメッセージ

ライブ・エンタテインメント市場を
変革・発展させ続ける企業でありたい

1. 日本もライブエンタテインメント市場も、大きな変曲点を迎えている

 2020年から拡大した新型コロナウィルス感染症は、世界に震撼を与えました。特に、ライブエンタテインメント産業への影響は甚大なものです。2020年には、日本のライブエンタテインメント市場の8割が消滅したと推計されています。当社は、速やかに公演中止に伴う払戻し費用の負担を実施したり、チケット業界最速で動画配信サービスを立ち上げて新たな収益を主催者に提供する等、ライブエンタテインメント市場全体の貢献を考え、各種施策の実行をスピード感を持って主導してまいりました。

 新型コロナは、テレワーク化やデジタル化のさらなる推進必要性や事業脆弱性への対応等を含め、日本が持つ課題も、ライブエンタテインメント業界が持つ課題も、多数浮き彫りにしました。今回の災害を大きな機会と捉え、日本もライブ業界も、また、当社も大きく変革していく必要性を強く感じています。新たな感染症が発生する可能性もあります。同時に、気候変動による自然災害も毎年増加しており、ライブエンタテインメント市場もその影響を直接受けざるを得ない状況です。私共も当事者として対応していく必要性を感じております。

 一方、社会全体に目を向けると、2008年に人口のピークを迎えた日本は、構造的な人口減少社会に突入しました。2016年には年間出生数が100万人を割り、2020年には85万人を下回る等、減少のスピードは落ちる気配がありません。親となる世代の人口が減少しているため当然です。ピークとされる団塊世代の出生数(270万人)の3分の1を既に割り込んでいます。この数字からも「歯止めの効かない人口減少」が今後、日本のライブエンタテインメント市場にも大きな影響を与え始めることが容易に予想されます。常に成長を前提として計画をしてきた社会にとっては、まさしく「未知なる時代」への突入です。

 幸い、ライブエンタテインメント全体を見ると、新型コロナ発生前までの10年間で2倍以上の市場規模に成長してきました。これは、アーティストの主要収入源であったCDが、ライブにシフトしたことが大きな要因のひとつです。また、デジタル化が加速すると同時に、リアルなコンテンツの付加価値や希少性が大きく増していることもその背景にあると言えます。成長産業が少ない日本において、大きく拡大してきた既存市場は、大変貴重であると言えるでしょう。生身のライブエンタテインメントは、人類の歴史に沿う形で、継続的に存在してきました。今後もその意義と希少性は高まり続けることでしょう。

ただし、このような環境下で、ライブエンタテインメント業界にも大きな3つの課題が見えています。

 1つ目は、アーティストやパフォーマーに「ライブを主軸とした新たなる堅牢なビジネス基盤の提供」が、しっかりできていないことです。トップアーティストはサブスクリプション型の音源配信の普及によりCDに代替する大きな収入が得られるようになっていますが、これからのアーティストやパフォーマーには厳しい環境が続いてます。また、今回のような環境下でライブパフォーマンスが提供できない場合でも、「収益が多元化される堅牢なビジネス基盤」の提供が必須となっています。これは音楽だけではなく、演劇やスポーツ、イベント等のジャンルにも同じく喫緊の課題です。

 2つ目は、インターネットやスマホの普及に伴い各種メディアが大きく変化している中で、「IT時代における新たなプロモーションのあり方」が確立されていないことです。現在、SNSを中心にユーザーによる拡散を期待した手法が多くなっていますが、成功の確率が高いとは言えません。特にITリテラシーがあまり高くなく、プロのサポートが得られにくい、活動初期のアーティストやパフォーマーには厳しい環境です。新たな才能をしっかり届ける手法と仕組みが必要だと思われます。

 3つ目は、ライブの企画・制作・チケット販売・運営といった業務プロセスが、未だ人の手と勘に頼った状態で「IT時代に即した効率的な運営」の実現ができていないことです。人口減の日本にとって、スタッフの確保が難しくなっていることもあります。また、採算構造を変革し、業界全体の収益を向上させなければ、優秀な英知も集まりません。これには業界全体が協力して、業務プロセスの変革と、それを支える仕組みの導入が必須となっています。

 私たちは、まさに今、人口減少社会への突入、ITによる社会構造の変化、そして、気候変動への対処と、幾つもの大きな課題への対応が求められています。まさに、日本もライブエンタテインメント市場も大きな変曲点を迎えていると言えるでしょう。

2. ライブエンタテインメント産業が、日本の将来を担う

 1995年、日本のGDPは世界シェア15%を超えていました。しかし、20年後の2015年には6%を割っています。世界における日本のポジションが、大きく後退していることがわかります。同時に1人あたりGDPも減少し、アジアにおいてはシンガポールや香港にも後塵を排しています。また、通貨の実力と言われる実質実効為替レートも今や1970年代、つまり、50年も前の水準に戻ってきたと言われます。
 
 後退する状況の中、日本がより豊かな社会を築くためには、何に注力すべきでしょうか? 大量消費の時代は、既に終わっています。日本の強みであったエレクトロニクス産業も、今や台湾・韓国・中国にその主軸が移りました。IT産業も、基本となるソフトウェアやプラットフォームは米国が押さえています。グリーンと言われる産業も、気候変動によりその対応は必須ですが、世界と戦える産業を日本が再び押さえられるかというと疑問もあります。また、市場規模が大きく現在は大きなポジションを世界で確保している自動車産業も、EVシフトにより戦う土壌が変わり、厳しい状況が予想されます。人口が減少する中で、成熟した消費社会の中で豊かな社会を築くための選択肢は決して多くありません。

 このような日本において、今、実行すべきこと。それは、規模の経済に頼ることではなく、高い付加価値の産業を作っていくことです。特に「独自の文化・芸術・エンタテインメントをもっと活性化し、発展させること」ではないでしょうか。今以上に、富裕層から一般市民まで、高齢者から若者までが、文化・芸術・エンタテインメントに幅広く参加し、楽しみ、そこに経済が伴う構造を作っていくことが、成熟した日本において、キーであると考えます。

 日本は、江戸後期、世界に誇る独自の大衆文化(POPカルチャー)社会を実現していました。同時に、サスティナブルな循環型の社会であったとも言われます。故・堺屋太一氏によれば、日本は幕末より「強い日本」をめざした。戦後は「(物質的に)豊かな日本」をめざした。これからは「楽しい日本」をめざすべきだという言葉を残しています。日本には、その素養と強みが十分あります。

 日本において、この「独自の文化・芸術・エンタテインメントをもっと活性化し、発展させること」ができた場合、3つのことが実現されるでしょう。

 1つ目は、モノ消費ではないコト消費型国内経済の活性です。楽しい成熟した文化を持つ日本が実現されると同時に、炭素排出の少ない日本も実現されるでしょう。2つ目は、醸成された独自の文化が、海外からのインバウンド客のフックになり、継続的なお金の流入が日本に起こることです。3つ目は、海外へのコンテンツ・文化の輸出が可能となることです。これらの相乗効果により、付加価値と独自性の高い経済が再活性化され、楽しく豊かな「文化立国日本」の実現が可能になると考えます。

 これらを実現するためのキーは、IT化の進展に伴い、さらに希少価値が高まるリアルなライブエンタテインメントにあるでしょう。つまり、「ライブエンタテインメント産業の活性が、独自の文化・芸術・エンタテインメントを創り出し、結果として、日本の将来を担っていく」のです。

3. 当社は、日本のライブエンタテインメント市場を変革・成長させ続ける

 このような現状認識において、当社はどのような役割を果たせるのでしょうか。その答えを導く前に、当社「イープラス」の成り立ちと実績を振り返ってみたいと思います。当社は1999年の設立以降、常に業界の本質的な課題を捉え、“イノベーションを起こしていく”という意志を持ち続けてきました。ここで簡単ですが、当社が行った3つのイノベーションをご紹介します。

 ご存知のとおり当社は、電話受付をベースとした旧態依然としたチケット販売の仕組みしか存在しなかった1999年当時、顧客や業界の課題をイノベーティブに解決していこうと、ITを強みとしたチケット販売会社「イープラス(当時社名:エンタテインメントプラス)」を設立しました。

 イノベーションの1つ目は、顧客に代わりチケットを取得する「プレオーダー」という仕組みを実現したことです。今や、どのチケット販売会社でも同様の仕組を採用していますが、予め顧客の要望を聞き、それに合わせてチケットを主催者から取得するサービスです。チケットが取得できた場合、対価を顧客からいただきます。当初、顧客からサービス料をいただくこと自体、業界から大きな反発もありました。ただ、我々は顧客にとっても主催者にとってもメリットが大きいとの信念のもとに普及を図りました。結果、今ではこの販売方法が日本のライブエンタテインメント業界の標準になっています。

 イノベーションの2つ目は、中小規模の公演を、当社が抱える1,900万人規模の顧客に向けて販売する仕組みを開発し、主催者に開放した「エンタメ市場(e+WEBオープンシステム)」です。チケットを販売する場合、販売枚数に関わらず多くの人手がかかります。その経費を小さな公演の主催者が負担すると、公演の採算が厳しくなります。逆に、主催者に替わり、その費用を当社が負担すると、持続的なサービスにはなり得ません。そこで、主催者自身が当社の仕組みを使って、簡単にチケットを販売できるようになれば、このジレンマは解消すると考えました。それが「エンタメ市場」です。主催者にチケット販売システムを開放することは、業界でも初めての試みでした。当初、導入には様々な課題が発生しましたが、現在では当社の年間取扱い公演本数の半数近くが、この仕組みで販売されるようになっています。

 3つ目のイノベーションは、アーティストやパフォーマーのプロモーションの場を、ネット上とリアル双方で同時に展開したことです。ネット上では、「SPICE」というエンタメ特化型のニュースメディアを立ち上げました。ライブエンタテインメントに足を運んでもらうためのニュースメディアで、現在、月間約500万人の方にご利用いただいています。さらに、個々の顧客の閲覧特性に合わせて、メールやアプリなどで記事やチケットの情報を提供しています。リアルなプロモーションの場は、渋谷の道玄坂に「eplus LIVING ROOM CAFE&DINING」としてオープンしました。300席ある空間で、食事やお酒を飲みながら、気軽にパフォーマンスを楽しんでもらう場です。日曜日には「サンデー・ブランチ・クラシック」という企画も行っています。気軽にクラシックを楽しんでもらうことを意図しています。

 これらのネットとリアルな場の展開に端を発し、「STAND UP! CLASSIC FESTIVAL」という日本で最大級の大規模野外フェスの開催にも発展しております。さらに、2021年には、ピアニストの反田恭平氏が、日本人としては50年ぶりに、ショパンコンクール2位での入賞を果たしましたが、彼が代表を務めるネクサス社と当社は、入賞の2年前から業務提携を行っております。意図は、伝統あるクラシック業界にイノベーションをもたらし、新たな発展をさせることです。現在、共同で新しいレーベルであるNOVA Recordの立ち上げから、各種コンサートの企画・主催、若手ピアニストの発掘・パートナーシップ契約等、当社の顧客基盤とITを活用しながら、新しい取組に挑んでおります。フェスの初回から出演いただいているピアニストの反田恭平氏は、2021年に日本人としては50年ぶりにショパン国際ピアノコンクールで2位入賞に輝きました。彼が代表を務める株式会社NEXUSと当社は2020年からパートナーシップ契約を結んでいます。その想いは、伝統あるクラシック業界にイノベーションをもたらし、新たな発展をさせることです。現在、NEXUSとの共同新レーベル「NOVA Record」や当社独自の新レーベル「eplus music」の立ち上げ、各種コンサートの企画・主催、若手ピアニストの発掘・パートナーシップ契約等、当社の顧客基盤とITを活用しながら、新しい取組に挑んでおります。

 このように当社はITをベースに、常に顧客と業界の本質的な課題にフォーカスし、イノベーションに取り組んでまいりました。また、約700万人(2021年12月時点)にご利用いただいている「イープラスアプリ」や電子チケット「スマチケ」などを起点に、アプリの知見を活かした新しい取組みを進めています。コロナ禍において安全で効率的な公演運用を実現するため、主要音楽フェスへの公式アプリ提供も多数行いました。そこでは、体調管理の登録から、情報伝達、混雑回避のための事前抽選入場や、物販事前注文・事前決済機能を提供する等、課題や要望に柔軟に取り組んでいます。

 イノベーティブな取り組みにおいては、予期せぬ課題が発生することも多々ありますが、諦めずにやり切る強固な意志と、それを実現する強いチームの存在が不可欠です。本質的には、それを育む組織文化こそ重要であるとの信念から「イープラスバリュー」という価値基準・行動指針を作り、継続的な組織での体現化にも取り組んでおります。

 冒頭にも記しましたとおり、日本は今、大きな変曲点を迎えています。そして、その本質的な課題と対処方法の鍵は、「独自の文化・芸術・エンタテインメントの活性と発展」にあると確信しています。特にリアルなライブエンタテインメントは、今後どのようにITが進化しようとも、その価値が減ずることはなく、むしろ高まっていくことでしょう。

 ライブエンタテインメント産業は、大きな課題を抱えていますが、当社にはその課題の解決を主導していく実績・意志・組織力があると確信しています。当社「イープラス」は、さらにITを強化・活用すると同時に、志を同じくする人や組織と連動し、「ライブエンタテインメント市場を大きく変革・成長させ続けたい」と考えています。そして、今後も、顧客、業界、日本に大きな貢献をしていきます。それは、ライブエンタテインメントを、もっと「いろんな人へ」、もっと「身近に」、もっと「楽しく」、していくことでもあります。

株式会社イープラス 代表取締役社長 倉見尚也

EPLUS VALUEイープラスバリュー

変化の激しいライブ・エンタテインメント業界における課題にフォーカスして改革を実現していくために、5つの価値基準・行動指針である「イープラスバリュー」を掲げています。

  • 01

    革新的なことに挑戦する

    • 慣習や常識を疑い、 業界・顧客の本質的な課題を見極める。
    • 業界・顧客サービスの今後の在り方に自分の意見を持つ。
    • 失敗やリスクを恐れず、 新しいアイディアを実現する。
  • 02

    内部志向から外部志向へ

    • 外部とのネットワークを積極的に作る。
    • 市場や顧客の動向に関心を持ち、情報を共有する。
    • 業界・顧客にとっての価値を常に意識する。
  • 03

    メンバーを育成し、チームで成果をあげる

    • メンバーの強みを伸ばし、 改善点を指導して成長させる。
    • 全社方針を常に意識し、目的・ビジョンを共有する。
    • 部署間の壁を作らず、個別最適より全体最適を優先する。
  • 04

    率先垂範

    • 自律的に考えて、主体的に行動する。
    • スピード感をもって実行する。
    • 最後までしつこく、責任をもってやりきる。
  • 05

    素直で謙虚、感謝を持って行動する

    • "上から目線"を排除し、何でも言い合える環境を作る。
    • 社内外の人に気持ち良く挨拶をする。
    • 感謝の意を表す。